
創業者について
河本 孝志 Takashi Kawamoto
経営に深く入り込み、共に動く「外部のモバイル経営企画室」
日本企業が直面する経営課題の多くは、戦略とガバナンス、M&Aと組織文化、広報と規制対応といった、複数の領域が交差する構造の中に存在しています。
いわゆる「戦略」がコモディティ化しつつあるいま、企業が海外展開やクロスボーダーM&A、組織変革に挑むうえで求められるのは、単一の専門性ではなく、経営全体の構造を理解し、横断的かつ実行可能な形で課題を整理・設計できる力です。そして何より重要なのは、戦略を描くだけでなく、その実行現場に深く入り込めるパートナーであることです。
河本氏は、外務省での外交実務を皮切りに、国際機関、外資系戦略ファーム、そして上場日系製造業のグローバル本社においてM&A戦略を統括。政府渉外・政策立案から、コーポレート戦略、ファイナンス、広報に至るまで、経営機能の幅広い実務に携わってきました。
こうした多様な現場経験を通じて、「外から経営を俯瞰する視座」と「内側から実行を動かす感覚」の両方を培い、様々な制約が内在する現実を直視しつつ、目の前の組織をどう動かすかを実務の中で悩み、模索し、磨いてきたことが、いまの支援スタイルの土台となっています。
2025年に設立したGlobal Samurai Advisory, LLCでは、戦略立案、M&A、ガバナンス、組織再編、パブリックアフェアーズといった、経営の中枢領域を横断的に扱いながら、構想から実行までを一貫して支援。クライアントの経営陣と同じ視座に立ち、時に組織の一員のように入り込んで共に前進します。
単なるアドバイザーにとどまらず、「海外担当役員」や「グローバル経営企画室」の機能を、必要なタイミング・場所に応じて柔軟に担う――まさにモバイル型の経営中枢機能として、土地勘の薄い海外市場でも現地で経営を補完する存在として機能すること。これが、Global Samurai Advisoryが如何なる案件に関与する際も大事にしていきたいスタンスです。

キャリアの変遷:意図的にボーダーを超える
河本のキャリアは、外交から企業経営まで幅広く展開し、国境やセクターを越えて複雑な課題に取り組んできました。
外務省(東京・ホノルル)
外交実務に従事し、日本の安全保障・外交政策に関する調整を担当。ハワイでは米国防政策や地域安全保障の分析、州・市レベルを含む幅広いステークホルダーとの関係構築を担った。デロイト トーマツ コンサルティング(東京)
シニアコンサルタントとして大手企業の成長戦略・業務改革・規制対応を支援。政府の政策立案にも関与し、2,000人超の中から「ベスト・コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を受賞。世界経済フォーラム(東京)/国連防災機関 UNDRR(ブリュッセル)
公共と民間をつなぐ官民連携の設計に従事。EUとの政策連携やサステナブルファイナンス、気候変動適応などの枠組みづくりを推進。ブランズウィック・グループ(東京・ワシントンDC)
日本企業・グローバル企業のC-suiteを対象に、物議を醸すM&A、アクティビスト対応、企業不祥事や危機対応に関する戦略コミュニケーションを支援。日米双方の経営トップを支えた。関西ペイント株式会社(大阪 グローバル本社)
M&A戦略部長として中期経営計画を主導し、全社M&A戦略を統括。グローバル視点を伝統的な日本企業に導入し、組織改革・ガバナンス強化を実現。Global Samurai Advisory, LLC(米国・2025年~)
創業者兼代表。戦略・M&A・ガバナンス・コミュニケーションを横断的に扱い、クライアントの一員として共に動く「モバイル型経営企画室」として活動。
Career Timeline
|2011-2014| 外務省
外務事務官 – Tokyo
米国大学院にて国際関係学を学び、在学中にニューヨークの国際連合日本政府代表部にてインターン。卒業後は、外務本省アジア大洋州局、北米局にて勤務。日本の安全保障や外交政策に関する政府間交渉、国会対応、省庁間調整、要人往来等の業務に携わる。
専門調査員 – Honolulu, Hawaii
米太平洋軍司令部の所在するハワイにて、日米の防衛政策、インドアジア太平洋地域の安全保障環境、ハワイ州の政治・経済情勢等の調査分析に従事する。持ち前の足で稼いで人脈を形成し、米国連邦政府機関、州政府、州議会、市郡政府、シンクタンク、民間企業、NGOなどの様々なステークホルダーとの関係構築、日本政府としての働きかけを行った。
|2014-2016| デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
ストラテジー&オペレーションズ、シニアコンサルタント – Tokyo
日本の大手企業に対し、企業戦略、成長戦略、業務改革、サプライチェーン改革、ルール形成戦略、規制対応などのアドバイザリー業務に携わる。とりわけ、ルールメイキングなどの非市場要素を組み込んだ戦略立案に尽力し、水素エネルギーの領域ではドイツ政府との交渉団に参画したり、サイバーセキュリティなどのテーマで日本政府への助言も行った。社内では、2,000人超のプロフェッショナルの中から「ベスト・コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を受賞。
|2016-2017| 世界経済フォーラム
コミュニティ・コーディネーター&戦略コンサルタント – Tokyo Office
日本市場の特異性、日本企業の持つバリューが国際市場において競争優位を生みやすくなるようなイシューの切り出し、官民連携プラットフォームの設計、日本プログラムの刷新・設計などに従事。
|2017-2018| 国際防災機関 (UNDRR)
アソシエイトエキスパート/プログラム・マネジメント・オフィサー – Brussels, Europe Office
外務省JPO試験に合格し、国連防災機関(UNDRR)欧州事務所に派遣される。EU本部の所在するベルギー・ブリュッセルにて、 欧州委員会、欧州議会、欧州地域の地方自治体との政策連携を通じた、防災の仕組みや減災投資の考え方をEU法に落とし込む形でルールとして法制化していく活動に従事。インフラ投資、気候変動、持続可能なファイナンスというテーマにおいても、欧州で活動する民間企業を巻き込む形で官民連携プロジェクトを企画・運営することで、経済合理性と社会インパクトの両立に尽力した。働きながら、英国のケンブリッジ大学ジャッジビジネススクールにて経営学を学ぶ。
|2018-2023| ブランズウィック・グループ
アソシエイト (創業メンバー) – Tokyo Office
日米事業統括ディレクター – Washington, D.C. Office
戦略コミュニケーション領域で世界トップクラスのブランズウィックに参画し、東京事務所の立ち上げ、米国法人に転籍後は、日米事業統括として数多くのクロスボーダー案件をリード。日本企業や非日系企業の本社社長、専務、常務レベルに対して、海外戦略投資、危機対応などの複数のステークホルダーが入り乱れるクリティカルな局面(以下、代表的なテーマのイメージ)において、誰に、どのようなタイミングで、どの切り口から、どのように情報発信すべきか、働きかけるべきか等のステークホルダーマネジメント支援を提供。
物議を醸す可能性の高い大型訴訟
物議を醸す可能性の高い M&A やアクティビスト防衛
サイバー攻撃による大規模ななデータ漏洩
品質不正や事故処理などの企業不祥事
CEO交代時などのチェンジマネジメントやクロスボーダーの社員エンゲージメント
米国市場におけるJapan Practiceの立ち上げを行い、全米5拠点(NY、DC、シカゴ、サンフランシスコ、ダラス)にて活動。日米政府関係者、企業幹部、国際機関、業界団体、メディア、シンクタンク、NGOなどとの広範な人脈を活かして、様々な共同セミナーや共同研究に参画した。主なものに、クロスボーダーM&Aに関する日米経営者の意識調査(経団連米国事務所)、危機対応やルールメイキングに関する講演がある。2023年にニューヨーク日本商工会理事に就任。
|2023-2025| 関西ペイント株式会社
グローバル本社 経営企画本部 M&A戦略部長 (兼IR広報部グループリーダー) – Osaka
日本最大級の上場塗料メーカーにおいて、同社史上最年少のプロフェッショナルファーム出身者として、新設のM&A戦略部長に就任。
全社変革、グループ全体のM&A戦略の統括(ソーシング、プレDD、買収交渉が中心。海外子会社におけるボルトオンM&Aも含む)、成長戦略、ポートフォリオ管理、第18期中期経営計画の策定、特定事業領域における海外戦略企画、コーポレート・コミュニケーション機能の再構築、業務改革、社内人材育成の仕組み化等をリード。
グローバル本社のクロスボーダーM&A及び広報のトップとして、グローバル組織での勤務で体得してきた視座や取組を伝統的な日本企業に融合させ、海外子会社CEOを含むグループガバナンスの強化、M&Aの成功確率を上げるための社内ケイパビリティの現実的な底上げ、情報戦で劣後しないよう海外でのソーシング機能の強化など、新たな取り組みを導入することで、過去の成功体験からの脱皮と組織文化のアップデートに尽力した。
その後、学生時代から所縁のある米国中西部、インディアナ州インディアナポリスにて、独立&創業。日米を行き来しながら、米国では、主にイリノイ、インディアナ、オハイオ、ミシガン、ニューヨーク、ワシントンDCにて活動。
執筆
2023年 経済広報センター(経済広報 2023 年 4 月号)「海外市場における認識ギャップとルール・メイキング ~多様な人材を巻き込んで、競争優位を勝ち取る~」
2022年 Brunswick Group「Getting Cross-Border Employee Engagement Right」
2022年 経団連とBrunswick Groupによる共同調査「日米グローバル企業の経営トップに対する意識調査」
朝日新聞出版社「世界市場でかつルールメイキング戦略(技術で勝る日本企業がなぜ負けるのか)※共著で第6章を担当
講演
2022年 経済広報センター「グローバル広報によるマルチステークホルダー・エンゲージメントの重要性-5つのポイントと事例紹介」
2021年 EY/西村あさひ/経団連「グローバル経営とサイバー危機管理-欧米市場での実例に見る、緊急時のグローバルガバナンスとコミュニケーション」
2020年 ニューヨーク日本商工会/日本クラブ「海外事業におけるクロスボーダー危機対応の要諦とは?」
その他、法政大学、杏林大学、ブリュッセル日本人学校、Pamona Collegeなどの多くの大学、高校にて「グローバルキャリア」に関する講演実績あり。
学歴等
ニューヨーク日本商工会 理事(2023年まで)
英国ケンブリッジ大学 経営大学院 General Management Certificate of Achievement
外務省JPO試験合格(2016年)
米国ミズーリ州立大学 国際関係大学院 Master of Global Studies
法政大学 国際文化学部 国際文化学士(米国ボストン大学留学)